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Kaoluluの日誌:France/news/旅

「風立ちぬ Le vent se lève」のフランスの公開前評価

「風立ちぬ Le vent se lève」のフランスの公開前評価_f0176688_15592813.jpgこんにちは、Kaoluluです。
昨日は、「ことわざ」小冊子の生産が進みました。
けど、「シワにならない」うたった糊でも、
やはりシワしわに…。
紙を変えたのがいけなかったのかなぁ。。。042.gif

さて、今朝はフランスのニュース記事の読解をしていました。

BFMTV : 10 raisons d'aller voir "Le vent se lève" de Hayao Miyazaki
 「宮崎駿の『風立ちぬ』を見に行く10の理由」

今週22日にフランスで公開になり、当日のフランスのラジオやテレビではかなり頻繁に
監督の名前が出てきました。
フランスの方達が実際に見に行かれるのは、今週末でしょうね。

日本では映画の前宣伝と実際の内容にズレがあったためか、
とても気に入った人と、がっかりしてしまった人とにハッキリ感想が分かれるようですね。
フランスでは、どのような前宣伝がされているのか気になります。027.gif

ざざっ、記事を拾ってみましょう。034.gif
読むのはとても時間がかかりましたが、フランス語の勉強になりますね。。。
Kaoluluの下手な意訳が含まれているので、正確に読みたい方は元の記事を見て下さい。040.gif


*Parce que c'est son dernier long-métrage
 監督の最後の長編映画だから

「僕は長編を作るには歳をとったよ!」と宮崎監督は笑う。極度の近視と手の問題だと言うが、彼は無益な退職者になろうとはしていない。「自分が楽しむために漫画を描く」「ジブリ美術館のためにショートアニメを作る」「美術館の企画展のために絵を描く」「遠くまで歩きたい」と言っている(注:BFMTVにインタビューに答えている映像あり)。しかし、同僚の高畑勳氏は「彼は歩きすぎるのは好きじゃないから」と言い、ずっと仕事を続ける宮崎監督のちゃめっけだろうと説明する。

最後の長編だから見る価値がある。それは日本でも言われているかも…。
宮崎監督は今後どうするつもりなのかは、日本でもいろいろ噂されていますが、
フランスでも似たような見解のようですね。


*Parce qu'il a failli ne pas voir le jour
 危うく日の目をみなくなるところだったから

2008年の「崖の上のポニョ」は津波を連想させる。けれど「風立ちぬ」は福島の大惨事のあった2011年3月に制作中だった。スタジオジブリの従業員たちも東京の郊外で数日仮住まいをしなければならなかった。宮崎監督さえ「風立ちぬ」の制作にまだ意味があるのか自問した。

そうだよねぇ。。。あの時は誰もがそう思ったよ。
日常生活で笑ったりすることさえ、悪い事なんじゃないかって思ったり。
でも、そういう考え方は間違いだって、誰もがすぐに気がついたけれど。
しかし、それが「この映画を見るべき理由」の1つにあげられているとは!!…複雑。026.gif


*Pour l'histoire qui rencontre l'Histoire
 歴史を語る物語だから

「風立ちぬ」は史実を元にした唯一の長編作品である。第二次世界大戦の最高の機械「ゼロ」の考案者堀越二郎の生涯を回顧する映画である。
航空技術は宮崎監督にとって価値の高いテーマだ。機械の翼の先端の製造社の彼の父親に近づく手段でもある。彼にとってこの映画は彼の父親との「和解」である。
「僕は作家の堀辰雄と堀越二郎からインスピレーションを受けた。僕は1人の登場人物を作るために彼らを混ぜることをためらわない」


Kaolulu、恥ずかしながら、宮崎監督が航空機製造に関わった家系の出だとは知りませんでした。
なるほどね〜〜〜!005.gif
だから飛行機を作ったり、乗ったりするストーリーが多いんだ!納得。
って、これ、日本人ならみんな知ってること?
フランスの記事で初めて知ったKaolulu、変。。。


*Pour mieux comprendre le Japon d'aujourd'hui
 今日(こんにち)の日本をより理解するために

宮崎監督は1930年代の日本と今日の日本の対比を築き上げた。その多くの挑発が中国と韓国をいらだたせるアベ・シンゾウ総理大臣の率いる今日の日本との。
その他の類似点も1930年代と今の時代を近づける。製作の結果を惜しまない堀越二郎のように、厚かましくも電力を消費する人々は、同じ状況の中にいる。「原発開発の結果が常に多くの人々の関心を引くわけではない」と、この激しい環境保護論者は嘆く。


この映画が震災・原発事故前から製作されていたことを考えると、
ちょっと論理的ではないのだけど、今現在の視線で観察するとこうなるのでしょう。
Kaoluluも、悲しいくらい右よりなトップが恥ずかしくてたまらない国民の1人です。
国民も彼が何がしたいのかさっぱりわかりません。なぜ支持率が上がるのだろう??
というかさ、原発大国フランスに言われたくないっ。015.gif


*Parce que Miyazaki est un vrai perfectionniste
 宮崎監督は本当の完璧主義者だから

「もののけ姫」は既に彼の最後の長編作品とみなされていた。宮崎監督は鍵となる全てのアニメを個人的に点検するほどの完璧主義者で、しばしば彼が気に入らないものは彼自身が描き直す。そんな風にするのは彼だけだ。うんざりするような作業に彼はどんどん時間がかかるようになる。

人に任せることができない…というのは本当はリーダーの素質ではありません。
それでも、そんな彼を尊敬する人は世界中にいます。
どんなに尊敬しても任せてはもらえない…。
彼の後継者がいないのは仕方がないことなのでしょう。
彼の代わりになる人は誰もいないのです。。。


*Pour l'ambivalence de Miyazaki
 宮崎監督の両義性
(「矛盾」と訳すべきかな?)
彼の作品の登場人物のように、宮崎監督は非常に両義性だ(注:【両義性】ある概念や言葉に,相反する二つの意味や解釈が含まれていること)。1941年、真珠湾海戦の年に生まれ、彼は間違いなく平和主義だが、軍武装と戦争兵器に魅了されている。
主人公、航空技術士である堀越二郎を弁護して、宮崎監督は「彼は自分の飛行機が戦争兵器になるだろうと知るべきだったが、彼は大きな被害をもたらす結果になるとは想像もしていなかったのだ(…)。ことが起こった十数年後に人々を批難することは簡単だ」と言う。彼にとって、その時代の航空技術者は「アーティスト」だったのだ。
宮崎監督の両義性は他にもある。とても文明的で微笑んでいる人柄だが、彼は非常に厳しくもある。彼の共同制作者によれば、彼の気難しさは暴君制スレスレだという。ル・モンド紙によると、彼は聖火を渡すにふさわしい後継者を見つけていない。彼の息子吾郎氏は、彼の長編映画「コクリコ坂から」のリリースに際して、ひどい批判を受けねばならなかったから。


監督の矛盾は、Kaoluluもなんとなく感じていて、
それが諸手を上げて彼の作品を称賛できない理由だな〜と思っていました。
作品はとてもいいのだけど、監督とは友達になりたくないな〜とか思ってしまうような。
いい意味でも、悪い意味でも「ちょっと変わったヘンクツおじさん」のイメージ。
まあ、誰でもそういう一面はあると思います…自分も気をつけねば。042.gif

事前に宮崎監督は表裏あるとわかっていたら、映画を見る姿勢も変わるかも。
そこまで理解しているフランス人オタクにも感心。024.gif


*Pour les influences françaises du maître de l'animation
 アニメの巨匠にはフランスの影響があるから

宮崎監督の影響は多い。たとえば、多くのフランス人が彼にインスピレーションを受けた。「ポール・ヴァレリーの詩の中に、「Le vent se lève ! Il faut tenter de vivre !(風立ちぬ!生きねば!)」という句がある」と宮崎監督は説明する。彼は「この言葉はいつも役に立つ」と評価する。この句は有名な詩「Le cimetière marin(海の墓)」の最後の詩節で始まる。
その他のフランス人も日本人にインスピレーションを与えている。パイロットのメルモーズ(注:サハラ砂漠に不時着した「星の王子さま」のモデルで、サンテグジュペリの同僚)とサンテグジュペリ、BD作家メビウスやアニメ映画「王の鳥」のポール・グリモーもだ。


宮崎監督がフランス語を読めるのかは知らないけれど、
右腕の高畑監督が東大仏文科卒なのはよく知られています。
ポール・ヴァレリーですかぁ。。。難しそうですね。042.gif


*Pour la musique de Joe Hisaishi
 久石譲氏の音楽のため

1984年以来それぞれの成功に付き添って来た久石譲氏の音楽は、宮崎アニメから引き離すことはできない。風の谷のナウシカ、天空の城ラビュタ、魔女の宅急便、紅の豚、もののけ姫、千と千尋の神隠し、ハウルの動く城、崖の上のポニョのオリジナルバンドは彼だ。そしてもちろん、日本の子どもたちが学校で歌うとなりのトトロもそうだ。

へえ、音楽も注目されてたんですね。それは意外な感じがします。
Kaoluluは、テーマソングにちょっと違和感を感じていました。
CMを見ても、あの歌を聞くと、あまり見たいなと思わせられなかったのです。
フランスでも使われているのでしょうか?

ちなみに、吹き替えの声は、フランスの方が断然自然!!034.gif
PREMIERE : Le Vent se Lève - Extrait VF(たまたま、原作でもフランス語の部分ですが)

主人公の声がね〜、日本版はね〜。。。自然すぎてコワイ…。026.gif


*Parce que c'est un filme pour les adultes
 これは大人のための映画だから

もし、「魔女の宅急便」や「となりのトトロ」、「崖の上のポニョ」が(とりわけ)子どもを対象としているなら、「紅の豚」や「もののけ姫」はむしろ大人向けである。「風立ちぬ」も後者にあたる。
長編作品のもとは、宮崎監督が自身が楽しんで描いた漫画で、彼がよくそれをするのが好きなので、豚の姿をした人間などを描いていた。制作会社が彼にそれでアニメーションを作ったらと勧めたとき、彼は断り、ためらい、それから「試しに」と決めた。「この漫画は子供向けじゃない」と彼はハッキリ言う。「だから、僕は本当は子どものためではない映画を作る考えにためらった」


ふむむ。026.gif
日本でもそう宣伝されていれば、劇場で子どもたちが泣き出すことはなかったろうに。
もしや、日本では子供向け映画の方が収入があるのかなと勘ぐってしまいます。
というKaoluluも、節約のため、劇場で映画を見ることは本当に稀です。042.gif


*Parce qu'il pourrait remporter un Oscar
 オスカーを受賞するかもしれないから

「風立ちぬ」はオスカー、アニメーション映画部門にノミネートされている。「Moi, moche et méchant2(怪盗グルーのミニオン危機一発)」、「Les Croods(クルードさんちのはじめての冒険)」、「Ernest et Célestine(くまのアーネストおじさん:日本未公開)」、「La reine de neiges(アナと雪の女王)」に対して。

映画マニアとしては、受賞前に作品を見ておきたいというのが心情なのでしょう。
でもさ〜、レストランで「ここが三ツ星になる前に食べに行こう」とか思わないよね?
普通に美味しいから行くんだと思う…。
賞をとるかもしれないから見に行くって、どうなんだろうなと。
ノミネートされたから見に行くと言った方が素直ですよね。032.gif



とは言いつつも、この前評判を読んで「風立ちぬ」を観たくなりました。
子供向けだと思うと、今までと毛色が違うので不満もでるでしょうし、
また飛行機モノ!と思ってたけど、監督の生い立ちからすると必然だとわかったし、
日本の負の歴史と現在の状況を比較しながら見るという方法は、
なかなか面白く、外国人だけでなく、日本人にもためになるでしょう。

DVDが出るか、テレビで放送されるのを待ちます。040.gif


*追記:「*Parce que Miyazaki est un vrai perfectionniste 宮崎監督は本当の完璧主義者だから」の項目が抜けていたので追加しました。
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by kaolulu-nv | 2014-01-24 11:04 | 気になるフランス | Comments(0)

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